松原 明の大リーグ

カブス、リグレー改修へ

第25回カブス・コンベンションは1月１５日から3日間、シカゴ・ダウンタウンの

ヒルトン・ホテルで開催されました。

会場のコンチネンタル・ボール・ルームは、チケットを買ったカブス・ファンで

満員の盛況でした。

注目されたのは、今季からカブスを買収したリケッツ一家の総出演。

新オーナーのトム氏は経営フロントに参加する、ピーター、トッド、ラウラの家族を

従え、約1時間を超える長いファンとの質疑応答に応えました。

トム会長は２０１４年に創立１００周年を迎えるリグレー球場の補修、改修計画

を披露。「まだまだ長くこの歴史的球場を保たせたい」と約束。大きな拍手を浴び

ました。「新たに選手のコンディショニングのためにウエイト・ルームを増設

（現在もありますが）ラウンジを加え、キッチンも改修する。スコアボードも

ジャンボ・トロンを考えている。さらに、球場西側のスペースにファンの憩いの場、

家族団らんのビルを建設する」ことも約束しました。

「補強が少ないが大丈夫か？」と問われて「私はジョージ・スタインブレナーでは

ない。大金補強のヤンキースの真似をしようとも思わない。あくまで

カブスをどう前進させるか、しか考えない」と言いました。

面白いのは「ヤンキースのブルペンには、マリアノ・リベラは特設の椅子に

座っている。カブスのブルペンにはひどい椅子ばかり。あれではブルペンの

居心地が悪いのではないか」という、ファンの質問です。

ルー・ピネラ監督は「投手用のラウンジ椅子もこれから用意する。もし、

リベラがウチに来たら彼の専用椅子も準備する」と応えて笑いを誘いました。

「夢は２０１４年はリグレー１００周年に当たるので、この年にオールスター・

ゲーム開催ができるように働きかける」と、いうオーナー発言でした。

しかし、オールスター・ゲームはア、ナ交互開催が原則になっているので、

ちょうど２０１４年はアメリカン・リーグの主催年に当たります。

そのころは、今のセリグ・コミッショナーは退任しているので、果たして、カブス

の夢は実るかどうか？まだ分かりません。

了

ライアン会長、レンジャーズで続投へ

レンジャーズの身売りは、ようやく具体化し、1月15日、チヤック・グリーンバーグ氏

（ピッツバーグ本拠のスポーツ代理人）ノーラン・ライアン氏の共同グループが受け継ぐ

ことが明らかになりました。

現オーナーのトム・ヒックス氏は、まだ何もコメントしていませんが、昨年12月１５日に

自ら設定した1ヶ月間の身売り交渉期限のギリギリでまとまったようです。

ヒックス氏が１９９８年に買収した当時の金額は2億5000万ドル（約２４０億円）でしたが、

フォーブス誌選定の時価評価は4億５００万㌦（約３７５億円）。昨年、身売りした

パドレスは５億㌦（４６０億円）。この前後が妥当な金額になるのではないでしょうか。

朗報は、現在も会長を務めている、ノーラン・ライアン氏が、引き続きオーナー・グループ

に残ることです。

「自分のいる場所がないような構成では辞める」と、ライアン氏は宣言していたので、

グリーンバーグ氏との接点は良好だったのでしょう。

レンジャースも強打・ゲレロ外野手を加えて補強はほぼ完了。戦力の不足はありませんし、

エンゼルス、マリナーズとの競り合いに割って入る力は十分あります。

オーナー会議の７５％以上の承認を経て正式に買収は完了しますが、

グリンバーグ氏は地元財界を誘い、約４０社の賛同を得た、いわば「オール・

テキサス連合軍」のようなオーナー・グループを形成。うまく舵を取れば

成功するでしょう。

ライアン氏は投手陣再編成に後見人の形でアドバイスし、ザルのようだ、

と言われた投手陣をテコ入れして改善されたので、２０１０年シーズンは

さらに激しい競り合いが見られる、と、期待しています。

了

マイアミ新球場の工事進み出す

マイアミ市ダウンタウン、リトル・ハバナ地区に建設中のマーリンズ新野球場は、

マイアミ市の公債ＯＫがなかなか降りず、工事が果たして間に合うか、ハラハラ

させましたが、やっと９２００万㌦（約９１億円）の公債支出が可決され、２０１２年

の開幕に間に合う見通しが立ちました。

目下、4000台の駐車場工事にかかる途中で、資金が下りないと、工事は中断

するしかない、ピンチでした。「これで２０１2年の開幕には十分間に合う」と、

関係者は胸をなで降ろしました。

マーリンズの野球場は難航を重ねるトラブル続き。ゴーサインになったのは「

これは地域経済活性化の最優先課題だ。野球場建設の伴う雇用も増大し、

マイアミの発展になる」という市の主張がようやく通ったからです。

ＭＬＢと選手会は、マーリンズに「チーム年俸をもっと上げろ」と、要請し、

マーリンズもやっとこのオフ、ウグラ二塁手と長期契約。さらに、1月１４日

も若手エース、ジョシュ・ジョンソン投手と、4年延長、年俸総額３９００万㌦

（約３８億円）でサイン。２０１３年までキープする契約が成立しました。

これで、３０球団最低のチーム年俸（約３７００万㌦＝３６億円）しかなかったマーリンズ

も他球団に追いつけるようです。

「収入の少ないローカル・クラブへ支援金を出しているＭＬＢの意向に反して、

大金補助の援助を受けながら、昔のままの年俸に抑えているのではおかしい」と、

ＭＬＢ、選手会が交渉した結果、前進したのです。

新球場ができれば、地域はさらに活性化し、ファンも増え、収入増加で

前途は明るくなります。マーリンズにやっと春が訪れるようになりました。

これからのスパートに注目です。すでに、ユニホームもマイアミへ変更

するプランも発表しています。やる気は感じられるようになりました。

了

フィリーズ・キャラバン

今夏、7月14日、ペンシルバニア州アレンタウン市の「リーハイ・バレー・アイアンピッグ」

のホーム、コカコラ・パークに、親球団、フィリーズのキャンプ前巡回ツアー

「キャラバン隊」の訪問が決まり、1月２７日（水）に来場する、とＥメール通信

で知らせがありました。

コカコーラ・パークは２００８年に竣工。アレンタウンのユニオン・ロード沿いに建てられた

最新式野球場です。キャラバン隊には、フィリーズのチャーリー・マニュエル監督が

加わり、選手は地元リーハイ・バレー地区出身のブライアン・シュナイダー捕手に、

フィリーズＯＢ、リッキー・ボタリコ投手も追加、フロント職員も同行、ファンとの

交換会も予定されるお祭りＰＲイベントです。

２００８年に新球場が誕生、インターナショナル・リーグに加盟以来、これで3回目の

キャラバン隊訪問です。

交流パーティーは地元大学キャンパスのホールで行う予定ですが、レセプション・

パーティーの形式で開催。大人1人、８０㌦（約７２００円）の会費制です。

この2年間はすべてチケット完売。フィリーズの巡回キャラバンに出会うのは

1年間でこの日しかありません。一目見たい、質問もしてみたい、サインも

もらいたい、オークションも参加したい、という地元ファンの期待は大きく、

午後6時開催のパーティーは、大いに盛り上がるでしょう。

３Ａオールスター・ゲームは7月１４日（水）にここで開催される予定ですが、

アイアンピッグは早々と、オールスター記念帽子（２５㌦、約２３００円）も売りだしました。

この帽子もパーティーの会場で売り出します。

ファンの要望に応えて多くのサービスが予定されています。

新球場が誕生してからオールスター開催は初めてです。「全米にリーハイ・バレーを

広くＰＲしたい」と、イベント演出の計画を練る途中です。その一環としてこの

イベントがあるようです。

了

アストロズも身売り

アストロズは1月１２日、オーナー（ＣＥＯ）ドレイトン・マクレーン氏が「チームを手離す

ときがきた」と、身売りを明らかにしました。

レンジャースに続いて、またテキサスのチームのオーナーが交代します。

レンジャースのように、オーナーが破産状態で売るのではなく、１６年間も

アストロズを経営してきたマクレーン氏は「私ももう７３歳。後進に道を譲るときがきた」

と、地元・ヒューストンで新たな経営者を捜すようです。

すでに２００８年には、ヒューストンのビジネスマン、ジム・クレーン氏が「身売りするなら

引き受けたい」と、名乗り出たことも明かしましたが、このときは、条件が折り合わず

破談になったようです。

マクレーン氏が１９９２年に買収したときは1億１７００万㌦（約１１７億円）だったので、

今の売値はどのくらいになるか、分かりませんが、経済不況が長引く今、

なかなかいい条件で売るのは難しいようです。

アストロズはこれまでの通算勝率は・５３０。メジャー６位の高い勝率を残している

優良チーム。6回もプレーオフに出場。２００５年にはワールド・シリーズにも

出場し、激戦のナ中地区では好成績を残しています。

アストロ・ドームから今のミニッツメイド・パークに移転し、２００４年には

オールスター・ゲームも開催しています。

マクレーン氏は「1月末までには結論を出したい」という意向ですが，果たして

だれが引き受けるのか、注目したい、と思います。

了

キャンプ日程発表

ＭＬＢは1月１２日、今春のキャンプイン日程を発表しました。

バッテリー集合は2月１８日から、野手の全員集合日は２３日、になっています。

ほとんどの選手はバッテリー組と同じ日に参加する予定で、乗り遅れると不利になるので

みんな、開幕日のベンチいり２５人ワクを目指してのアピール競争です。

１８日集合組は両リーグ１２球団。バッテリー組で一番遅いのは、インディアンス

の２３日。王者ヤンキース、ナリーグ優勝のフィリーズはともにトップを切って１８の

スタート。やはり意気込みが違います。

キャンプ地移転はアリゾナ入りのレッズ以外では、フロリダの東海岸、

フォートローダーデールから、西海岸のサラソタへ移るオリオールズだけです。

レッズのアリゾナ・オープン戦の第1戦は3月5日、グッドイヤー市で同じ場所

でキャンプ中のインディアンスを相手。

ワールド・シリーズの再戦、ヤンキース対フィリーズは、フィリーズのホーム、

クリアウォーターで3月4日が第1戦です。ケーブルＴＶのＥＳＰＮはフロリダの

１０試合を中継する予定で、3月２３日から毎日放映される予定です。

ＭＬＢテレビも中継予定で、契約したパソコンで観戦できますが、まだ、

日程は未定です。

キャンプ地を打ち上げて各球団は本拠地へ戻りますが、ホームのお披露目は、

新球場「ターゲット・フィールド」のツインズはカージナルスを迎えて、4月２、3日の

ウィークエンドに2連戦。初日の2日は6時１０分開始のナイター。2日目は午後

2時１０分のデーゲームになりました。

ジャイアンツ対アスレチックスの「ベイ・シリーズ」は、4月1日から3連戦。

１、2日はサンフランシスコのナイター。3日はオークランドのデーゲーム。

ドジャース対エンゼルスの「ハイウェー・シリーズ」は2日はアナハイム、

3日はドジャー・スタジアムの2連戦。オープン戦から休みナシで突入する公式戦。

ファンには待ちかねたプレーボールです。

了

オープン戦日程発表、カクタス・リーグは同数に

ＭＬＢは1月１１日、今春のグレープフルーツ・リーグ（フロリダ州）カクタス・リーグ

（アリゾナ州）のオープン戦全日程を発表しました。

3月2日、大学生との交流試合で開幕。メジャー同士の正式オープン戦は

3日から一斉に始まります。オープン戦の最後は4月4日（日）サンフランシスコでの

ジャイアンツ対マリナーズの1試合です。この日はボストンでレッドソックス対

ヤンキースの公式戦が開幕します。

今年度から、レッズがフロリダからアリゾナ・グッドイヤー市のスポーツ施設へ

移転。ついに、フロリダ、アリゾナの両方とも１５球団ずつ、の全くタイになりました。

これは、キャンプ日程史上初めての同数で、巨大な最新式設備を巨額投資で開発

してきたアリゾナの誘致パワーに押される流れなのが良く分かります。

グッドイヤー市は、昨年、インディアンスを誘致して開始しました。

今年はその共同施設をさらに拡充。新たに６つの練習場、２つのミニ・フィールド、

クラブハウス、リハビリ・センターを完成、レッズを迎えたのです。

この新たな投資は２３００万㌦（約21億円）と言われ、これで、アリゾナの共有施設で

キャンプするのは、ピオリア（パドレスとマリナーズ）グレンデール（ドジャース

とホワイトソックス）サープライズ（ロイヤルズとレンジャーズ）に次いで４都市目

になります。

地理的に見ると、西地区は両リーグともアリゾナ、東地区はともにフロリダですが、

中地区は所属の地区時間帯で別れ、アでアリゾナ組はホワイトソックス、

インディアンス、ロイヤルズ）ナではブリュワーズ、カブス、レッズがアリゾナ組

なのです。

カブスは長年、続けてきたメサを離れ、２０１１年からフロリダへ移転計画

を進めており、メサ市が老朽化した施設を改修できるかどうか、に掛かっています。

再びフロリダが優位に立つか、さらに、アリゾナの攻勢が続くか、今後の

動きは流動的です。

オープン戦全部の詳細日程はＵＳＡツデーのホームページに載っています。

www.usatoday.com/sports/baseballでアクセスできます。

了

ベースボール・アメリカのアルマナック

野球専門誌「ベースボール・アメリカ」社から「２０１０年アルマナック」が届きました。

２００９年のメジャー、マイナー・リーグの公式記録総集編で、１年間の記録の

すべてが分かる、大変便利な分厚い本です。

定価２２・９５㌦（約２１００円）。送料は１５㌦（約１３５０円）。最初に２００９年

のア、ナ両リーグ総括が載り、その後は球団別の記録集計（アルファバット順）が続き

海外のリーグ（日本も）も紹介される、いわば世界野球統計版です。

私は毎年、これを参考にして愛用しています。

今や、記録集年鑑はベースボール・アメリカ社が発行している、この１冊だけになりました。

かっては、スポーティング・ニューズ社がこの記録集発行の専門社でしたが、

相次いで発行を中止。２００７年以降は全く出版しておりません。

昔は「ガイドブック」「レジスター」（選手別の個人記録集）「レコードブック」

「ワン・フォー・ザ・ブック」などが発行され、「これは新記録かな？」なども、

すぐに調べることもできました。

こういう紙の記録集が手元にあると、後年、調査するのは、極めて便利だったのですが、

今は「オンラインのデータ・アクセスで分かるから」と、出版を中止し、ＭＬＢも

記録集、ガイドブックの出版を止め、オンラインに切り替えてしまいました。

日本の統合されたプロ野球機構も、記録部も統合を機会に、今後は記録集

の発行を中止する、と言われています。

これも時代の流れなのでしょうか。その中でべースボール・アメリカ社だけ

出版を続けてくれる英断には感謝します。「ウチもやめた！」などと

言い出さないことを祈っています。

この本の申し込みはインターネットで同社まで。www.baseballamerica.com へ

どうぞ。

（了）

さらばランデイ

ついに大ベテラン左腕、ランデイ・ジョンソン投手が現役引退を表明しました。

２００９年はジャイアンツ入りしましたが、左腕回旋筋肉痛と、背中痛のため、途中で休養。

再起後は救援で５試合、わずかなイニングを投げただけで、ピリオドを打ちました。

待望の３００勝は６月４日、ワシントンのナショナルズ戦。ダブルヘッダーの第１試合。

６回を２安打、自責点ゼロ。敵地で達成しました。「何とかホーム、サンフランシスコで」

と、チームも、ランデイ自身も願っていましたが、夢はかないませんでした。観衆も

少なく、寂しい大記録のゴールでした。

しかし、ランデイが身をもって示したお手本は、ジャイアンツ先発投手陣に

大きな影響を与えました。この入団効果は素晴らしい、と思います。

マット・ケインはオールスター投手に成長、テイム・リンスカムはサイヤング賞

受賞。バリー・ジトは悩みから抜け出し、Ｊ・サンチェスはノーヒット・ノーラン

を達成。黄金先発陣が完成したのです。

それにしても、４５歳での３００勝とは、いかに、この大記録が至難の業か、良く分かり

ます。

頑健な体、と言われたランデイも４０代になってからは、腰の故障に苦しみ、何度

も挫折のピンチがありましたが、執念でたどりついたのです。

デビューが２５歳と遅かったので、この強靱な体力と、精神力がなければ、

「惜しかった」で終わったかもしれません。

今後、４５歳まで投げられる投手は、おそらく出ないでしょう。

初の完全試合を記録したのは、４０歳８ヶ月８日。アリゾナ時代の２００４年でした。

２００５、６年、ヤンキースに招かれて入団した２年間は、ニューヨークのメディアと

折り合いが悪く、カメラマンとの大げんかや、論争が絶えず、居心地が悪いまま

去りました。この２年間はともに１７勝を挙げていますが、思い出は良くないはず

です。

２０勝したのは２００２年が最後。この年は通算５回目、最後のサイヤング賞受賞

の年でした。

引退後、５年で資格を得るクーパースタウン野球殿堂入りは、２０１５年ですが、

ランデイを知る記者は多いので投票しない人はまずいないでしょう。

９０％近い得票で１年目に殿堂入りするのではないでしょうか。

そのとき、ランデイは５０歳。晴れてクーパースタウンの壇上でどんなスピーチをするか、

期待しています。

（了）

一新された殿堂のホームページ

２０１０年からクーパースタウン野球殿堂のホームページが一新され、これまでの

ように自由にはアクセスできなくなりました。

これからは、ＩＤとパスワードを自分で登録し、承認を受けないと、開けません。

だが、アクセスできれば、その内容は一段と豊富になりました。

細かいインフォーメイションもすぐに分かり、さらに、分析して深い情報もキャッチできます。

今は、ドーソン外野手の殿堂選出のニューズ一色です。ドーソンの詳細が分かり、

さらに、今後の選出も案内されています。

今年度の「殿堂祝典ウィークエンド」の行事は、７月２３日から２６日まで、クーパースタウン

の町を挙げてのお祭りになります。表彰式典は２５日です。

来年度（２０１１年）は７月２２日から２５日。表彰式典は２４日になりました。

まだ、記念試合の日程はリリーズされていません。

２０１１年に新たな候補者も紹介されています。

アストロズのジェフ・バグウェル一塁手、メッツで活躍したジョン・フランコ、

アル・ライターの両投手、ジョン・オルルー一塁手ら２７人が挙げられています。

バリー・ボンズ外野手、ロジャー・クレメンス投手、サミー・ソーサ外野手らの

薬物疑惑トリオ、超大物が資格を得るのは２０１３年です。

この年には鉄人、クレイグ・ビジオ二塁手も候補に挙げられ、彼らは殿堂に

ふさわしいか？その是か非か、の論議は騒がしくなることでしょう。

このホームページから得られる知識はたくさんあります。一度、覗いてみては

いかがですか。

新しいホームページはhttp://community.baseballhall.orgです。

（了）