ヤンキースFAの松井秀喜外野手の入団会見に立ち会ったのは「チーム松井」の
メンバーです。12月16日、アナハイムのエンゼルス・スタジアムの記者会見に
広報担当、広岡勲氏と、通訳のロヘリス・カーロンさんが同席しました。いずれも
ヤンキースの職員で松井附きのメンバー。それが、松井の退団、新球団移籍
が実現したので「キミも一緒に移ってもOK」になったのです。
ヤンキースでは日本人選手がいなくなり、(マイナーには井川投手がいますが)
日本語通訳も松井の便宜を図る必要もなくなるため、エンゼルスからの要請で
フロント職員の異例のトレードが実現したものです。
広岡さんは44歳、日本では報知新聞社のプロ野球担当で松井附きの記者でした。
松井の渡米に際してMLB取材経験のある広岡氏に「来てくれないか」と頼み、
ヤンキース球団附き(メディア・アドバイザー日本・太平洋担当)で採用されたのです。
エンゼルスには長谷川投手が退団して以来、日本人選手はおらず、広報にも
日本人スタッフはいませんでした。
来春のキャンプには、「松井担当記者」の取材が急増することが予測され、
その記者をさばくために新設されたポストです。エンゼルスは広岡氏を
広報担当兼任松井附き、として採用。キャンプから対応します。松井がそうして
欲しい、と頼んだのかどうかは分かりませんが、これで、松井も安心でしょう。
しかし、私は、こうしてガードを固めてしまうのは、果たして野球人生に幸いかどうか、
疑問に思います。新天地で松井はすべてを投げ捨てて、新スタートを切る、生き抜く
覚悟を示して欲しかった、と、思うからです。
こういう態勢になってしまうと、どうしても、松井のナマの声が伝わりにくい、
のではないか?と心配です。メジャーの選手はクラブハウスでマンツーマンの対話が日々の
行動になっています。それが、通訳を挟むと、どうしても、表面上のやりとりだけに
なってしまい、本人の意志が果たして記者に伝わるのか、気になります。
ラテン系の選手(中米出身のスペイン語圏)は、ほとんど通訳など附きません。
渡米したら、自分で英語を話す努力をして、すぐにマスターします。
いつまでも「分からない、駄目」な選手では、自然に脱落してしまうのです。
松井君も、2003年にヤンキース・デビュー以来7年間、ニューヨークに滞在
していて、英語が話せない、とは思いません。せっかくの新天地のチャンス
に、これまでの松井を超える、新たな姿を見せれば、アメリカ人記者も
「話せるな、ヒデキ」と、見直すのではないでしょうか。
チーム松井に寄りかかって「打てばいい」というのでは、イメージは
変わりません。日本では昔から「郷に入りては郷に従え」ということわざ
があります。このことわざは英語にもあります。アメリカで働くには、外様では
なく、いかに、アメリカ社会に溶け込むか、これが大切、と、思いますが。
了
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