ボルチモア市は博物館の宝庫です。
市内には実に多くの博物館が点在しています。これまでは、レジェンド博物館、
ベーブルース生家博物館を尋ねましたが、やや北部には「メリーランド州歴史博物館」
と、そのそばに「ウォルターズ美術館」があり、やや東のリトル・イタリー地区には
「メリーランド・アフリカン・アメリカン歴史博物館」もあります。
アフリカン博物館は、インナー・ハーバーを東西に流れるメイン道路「プラット・ストリート」
を歩いてゆくと、インナー・ハーバーを過ぎて、リトル・イタリー地区に入ったところの
交差点に建っています。
正式には「レジナルド・ルイス博物館」が最初に付いています。
レジナルド・ルイス氏は黒人社会の立志伝の人物で、黒人闘争のリーダー。
東ボルチモアで生まれ、同地で高校を卒業のあと、バージニア大学を経て、
ハーバード大学法科を卒業した努力家でした。45歳でハーバードをマスターした、
と言われていますから、大変な苦労を重ねたに違いありません。
そして事業にも成功。その資産をつぎ込んで、後世に黒人の民権運動の苦闘
の歴史を記録し、残そう、と、この個人名の博物館を創設したのです。
ルイス氏はもう故人ですが、2005年に新装なって、ボルチモアに開設した
立派な3階建てのビルです。
同氏の写真は入り口に飾ってありますが、眼光鋭く、壁には「なぜ、白人ばかりがすべて
を独占するのか。我らはもっと社会に進出しよう」と、いう黒人開放のスローガンが掲げて
あるところから、ボルチモアでの社会民権運動がいかに盛んだったかも分かりました。
スポーツに進出した例では、ボルチモアにあった、黒人チーム「エリート・ジャイアンツ」
の紹介コーナーが注目されます。
そのチームの代表でクーパースタウン野球殿堂入りした、レオン・デーの記念品
の数々が展示されています。デーは、ボルチモアで開催されたMLBオールスター
に招待され、始球式を行いました。その年、クーパースタウン入りしたので、
「ついに夢はかなった」と、感激した、と思います。
黒人がカラーラインを破り、社会に認められるのは、いかに苦労があったか、
これらの展示を見て考えさせられました。
(了)
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