ヤンキースの場内アナ、ボブ・シェパードさんが、ついに、引退を正式に
表明。場内放送の「ボイス・オブ・ヤンキース」と、ファンに、選手に親しまれた
声が聞かれなくなりました。
シェパード・アナは10月20日、99歳の誕生日を迎えて「もう、後進に道を譲る
ときが来た。この仕事はハードで、毎試合、約3時間以上も、マイクの前を離れ
られない。正確なアナウンスを行える体力は、もう、私にはない。後輩も育ったいま、
静かに去りたい」と、11月26日、MLBコムの電話インタビューに応じ、
引退の弁を語りました。
これほど長いキャリアの場内アナは、他の球団にはだれもいません。
シェパード・アナのヤンキースの選手紹介の声が初めて場内に流れたのは、
1951年4月17日、ヤンキー・スタジアムの開幕戦。レッドソックスを迎えたときでした。
ヤンキースのクリンアップは、3番にミッキー・マントル右翼手。4番は
ジョー・ディマジオ中堅手、5番にヨギ・ベラ捕手の黄金トリオ。この年限り
で引退したジョーの最後の開幕戦でした。
「場内アナウンスは明瞭に、分かりやすく、ファンに聞き取れるもので
なければならない。私は常にそれを心がけてきた」。
2007年、体調を崩し、ポストシーズンの試合を休むまで、実に4500試合
の公式戦と、ポストシーズン121試合を欠かさずアナウンス。2008年以降は
再び登場しませんでした。ヤンキースは新球場で27回目の王座に着き、
「もう、私に思い残すことはない。後輩のアナウンスを常に聞いていたが、
彼は(ポール・オルデン)は冷静で明瞭な言葉、ヤンキースの求めるものと
一致しているので大丈夫だ」が、サヨナラの言葉でした。
デレク・ジター主将は、シェパードさんの声を録音し、いつも聞くのを楽しみにして
いた、と言われています。
ヤンキースは2007年5月7日、シェパードさんを「モニュメント・パーク」
に掲額、その偉業を称えました。名物の場内アナを、ヤンキースが
いかに大切に思っていたか、が良く分かります。
あの落ち着いた、ゆっくり間合いを取る、独特の声がもう、聞こえないのか、
と思うと、本当に残念ですが、ファンはだれも忘れないでしょう。
ヤンキースは、プレス・ダイニング・ルームを「シェパード・パレス」とネイミング。
来年から入り口にプレートを掲げる予定です。
ありがとう、シェパードさん。お元気で。
了
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