ボルチモアへ寄った目的のひとつは、「ベーブルースの生家・博物館」がどのような
ニュールックになったのか、楽しみにしていました。
私が前回に取材に行ったときは、もう、4年前でしたが「全面改修計画」は館内に
展示され、3階建ての立派な博物館生まれ変わる予定でした。
しかし、全米を襲った経済不況をもろに受け、計画は延期されたまま、
いつ着工できるのか、見通しが立たないピンチなのです。
外観は昔のままだったので、訪れてドアを開けたとき、いやな予感がしたのですが、
案内人のフロント係りの女性、シャロン・スミスさんは「申し訳ありませんが、
いつ始まるともお話しできないのが辛いです。私は年内にもスタートする、と、
期待して祈っているんですが」と、苦笑するばかりでした。
建物保存は急務ですが、資金がないのでは、手のつけようがない、のです。
生家の売り物は2階のルースの自室ですが、1階の暖炉の間とともに、いまや閉鎖状態。
2階への階段も「危険ですから上らないでください」と、閉ざされたままでした。
せっかく訪ねても展示は昔そのままでした。残念ですが、仕方がありません。
訪問客の入場料だけでは、とても運営は不可能でしょう。
この近辺も、ヒルトンの開設ですっかり明るくなり、博物館そばには、ハンプトンイン
も新たにオープン。昔は「あのエモリー・ストリート一帯は危険だから近ずくな」
と、言われていたのは、ウソのように環境は良くなりました。
ボルチモア市も経済は苦しく、博物館援助は難しい、とのことでした。
建物はもう60年余の古いもの。部分改修で持ち応えていますが、崩壊しない
前に、なんとか、英雄の古巣を保存して欲しいものです。
オリオールズ・パーク広場にある「少年時代のルース。夢」の銅像は、バットを
杖に立つ、凛々しい姿でファンを迎えています。
一日も早くルース生家の再建を祈るばかりでした。
(了)
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