シェイ・スタジアム4階へ出ると、左右に、会員専用のダイニング・ルームが
広がっています。このホール壁面に、数々のチーム写真、感激モーメント、歴代スター
の写真が展示され、かっての思い出にひたることができます。会員専用
なので、食堂の利用はできませんが「展示を見たいのですが」と、頼めば、
OKしてくれるはずです。
ワールド・シリーズのチャンピオン・トロフイーは、”ミラクル・メッツ”の名前が全米に
広まった1969年の第1号が、ファンには、感慨深いものがあるようです。
この年の相手はオリオールズ。先発投手陣が強力で、「オリオールズの方が
はるかに投打とも力は上」と、いう予想が多かったのですが、
メッツは、ボルチモアの第1戦に敗れたあとは、一気の4連勝。
トム・シーバー、左腕ジェリー・クーズマンの力投で圧倒する、波乱の連続でした。
メッツは創立当時の弱体から想像を超える、よもやの快進撃。
「ミラクル」の言葉が全米に知れ渡ったのも自然でした。
ステンゲル監督引退を受けて1968年に2代目監督に就任した、
ギル・ホッジス監督の見事な指揮ぶりは素晴らしく、1969年は
チーム初の100勝62敗。プレーオフも圧勝。ホッジスの胸像は、メッツ殿堂に
飾られています。この王座に貢献したクーズマン、シーバーの両投手
の胸像も安置されています。
シーバーは通算311勝の豪腕エース。3回もサイヤング賞受賞
の高い評価を受け、20年間も投げ抜いた名投手。今も元気で解説者
でファンに呼びかけています。
ホッジスは「ザ・ゲーム・オブ・ベースボール」の著書で自分の野球を公開
しました。日本では「現代の野球」の表題で出版され(1971年、ベースボールマガジン社)
当時ヤクルト監督だった、故三原脩氏が自ら翻訳した、監督論の集大成に
なつています。
三原監督は後記で「私は幾度となく、我が意を得たり、と思った」と、傾倒して
いるほどの監督論がびっしりとつまっています。東京ドームの野球体育博物館
図書室へ行けばこの本は読めます。
シーバーも「勝つための投球術」(1981年、講談社発行)で投手の極意
を語っています。投手はいかに自己管理すべきか、をアピールしている本です。
名手が語るノウハウは、今も生きている、と思います。
了
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