この博物館オーナー、レイ・クランプさんは、私に、情熱を込めて、
こう語りました。
「私は1949年、13歳でワシントン・セネタースのバット・ボーイから
始めたのが、この世界へ入るきっかけでした。セネタースだけではなく、
ビジター・チームの用具係りもやり、当時、同じワシントンにいた
レッドスキンズ(NFL)も手伝い、旅行担当も兼任し、裏方の仕事
をすべて引き受けたんです」
「約50年間も、野球チームに密着していたら、自然に、選手の
記念品も、私の手元に集まります。これを、私1人で抱えて
いては、もったいない。いつかは、ファンへ公開しよう、と、
晩年は、いつも考えていました」
少年、青年時代は、好感の持てるタイプだった、と思われるクランプさんです。
グリフィス・オーナーには、特に目をかけられ、オーナー譲りの遺品が多数あります。
「まずグッズ・ショップで生計を立てたい」と、働き始めたクランプさん
を支えたのは、「貴方、ここで一緒に博物館もやりましょう」
と、提案し、夫を励ました、キャロライン夫人、だったそうです。
チームの裏方時代からの、この殿堂のいきさつは、自著
「ベネス・ザ・グランドスタンド」(観客席から愛を込めて)
の中に(326㌻)詳しく述べられています。
この本は博物館を創立し、同時に設立した出版社「クランプ発行社」
(住所は博物館と同じ910南3番通り、ミネアポリス)から
出版しました。
本の中には、数多くの写真が入っていますが、クランプさん自身が書いたものでは
ありません。本人の話をジュニア氏がまとめたものです。
1部12㌦。クランプさんは、案内を終わり、別れのとき、この本に自らサイン
して私に手渡し(半額の6㌦でいいです、ということでした)
「これを読んでくれれれば、私の思いが分かります。また、
メトロ・ドームへ来たら、ここへも寄ってください」と、
固く握手しました。
サインは万年筆で力強い文字でした。「ベスト・ウィッシュズ」と
書かれています。これを眺めると、当時の雰囲気が鮮やかに浮かび上がります。
了
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