タイガースのカメリカ・パークには、伝統、歴史を伝える場内の工夫
がされています。
コンコースの横幅は12㍍もあるワイド通路。さらに、天井まで、吹き抜け
構造になっています。「どの階層の観客にも、試合を、コンコースの展示を
楽に眺められるように設計した」と、配慮されているのを見れば、
タイガースと、オーナーの「伝統を大切にファンに伝えたい」意気込みが分かります。
10年毎に区切る形の「ディケード・モニュメント」を、通路中央に展示。これが
尖塔のように、天井へ伸びているのが、一大特徴です。多くの野球場を
見てきましたが、このやり方は、カメリカ・パークしかありません。
このディスプレーは固定されていますが、全部、下に小さい自動車のタイヤ
を模した車付き、なのが面白い、と思いました。
まさに、自動車都市にふさわしい、演出ではありませんか。
この塔には、その時代の代表選手の等身大写真が上から吊され、
写真、絵、選手のユニホーム、帽子、グラブ、スパイク、などが
まとめてガラス・ケースに収められています。
尖塔の最上部には、タイガースのロゴ・マークが輝き、その下に年代
を示す数字の板。選手の写真像は、複数のユニホーム姿も
飾られています。これが、各10年ごとに並べられています。
つまり、場内を一周して、この展示を見学すれば、タイガースの歴史は
すぐ、飲み込める、のです。歴史展示は1900年からスタート。往時
の盛衰をしのべる設計は見事です。
タイガースは、これら展示を「ウォーク・オブ・フェイム」とも、
「ウォーキング・ミュジアム」とも呼んでいます。
場内の、多種多彩なエンターティンメントを完成させるため、建築費
は予定以上にかかり、オーナーは、投資基金回収のメドが立たず、
苦悩の毎年でした。
マイク・イリッチ・オーナーは、全米大手ピザ・チェーンで成功した人物。
自分の資産を「デトロイト市の復興のために、ダウンタウン再開発の目玉に」と、
つぎ込んだ、と言われています。
当初の建設費予算3億㌦(当時約360億円)の約6割(1億8000万㌦)
の巨額をイリッチ・オーナーが負担。オーナーの功績は、長く伝えられるでしょう。
了
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