松原 明の大リーグ

ワールドシリーズ、その１

２００４年のワールドシリーズ、レッドソックス対カージナルス

は、とても、寒いシリーズでした。

私が取材に行ったとき、第１戦は、１０月２３日。ボストン。曇り。

気温９度。２日目は２４日。小雨。気温８度。

セントルイスへ移った第３戦、２６日は気温１７度。しかし、雨。

最終戦の２７日は曇り、気温１６度。皮肉なことに、青空を

見たのは、移動日の２５日だけでした。

シリーズは、予想をくつがえす、レッドソックスの４戦ストレート

勝ち、で終わったのですが「もし、ボストンへ帰ったら、どんなに

寒かったことか」と、身震いする思いでした。

大リーグは、５月１４日、「今季のプレーオフ日程を大幅に変える」

と、新日程を発表。従来の、土曜日開幕のワールドシリーズは、

水曜日が第１戦にずれ、１０月２４日。１、２、６、７戦は、水、木開催

に。３、４、５戦は、土、日、月へ、と大改革。

独占中継するフォックス・ＴＶの意向で、視聴率の高い、ウィークデー

へ、主軸を移しました。週末は、カレッジ、ＮＦＬのフットボールが

断然の人気。とても、野球はかなわないため、週末を１回だけにし、

ウィークデー勝負に出た、のです。

野球を取材している記者でも、フットボールのテレビ中継に夢中。野球

は二の次、という感じ、なのですから、ファンの関心度は比較になりません。

今季、もし、第７戦にもつれ込むと、史上初めて、１１月１日に

なつてしまいます。どんな寒さか、想像するだけ大変です。

了

イタリアン・アメリカン・スポーツ殿堂、その３

大リーグにイタリアンは、実に、多いのです。

ディマジオ３兄弟。現役監督では、ヤンキースのジョー・トーリ、

カージナルスのトニー・ラルーサ、２人の名監督を始め、

ヨギ・ベラ、ジム・フレゴシ、ビリー・マーチンの3監督。

フィル・リズトー遊撃手、サル・マグリー投手、現役の

マイク・ピアザ捕手。元コミッショナーのバート・ジアマッテイ氏。

「飾るところが限られているので、いかに、多くの方を、

うまく印象付けるか、苦心しています」と、殿堂キュレイターの、

アンデイ・ディックスさん。

この立派なビルは、多くのイタリアンの出資で建設されましたが、

中でも、ＮＢＡサンズのオーナーであり、大リーグのダイヤモンド

バックスの創始者である、ジェリー・コランジェロ氏が、最大の

貢献者、とされています。

同氏は、ダイヤモンドバックスのワールド・シリーズ優勝

トロフィーをここに飾り、イリノイ大学が、同氏に贈った

ユニホームも飾られています。

ディックスさんは、3階のテラスに私を案内。「ここから見る

シカゴの夜景がいいんだ」と、自慢しましたが、さて、

夜、無人の大学キャンパスを歩いて、電車へ戻るのは、勇気が

いります。夜景は我慢して、明るい内に、オヘアは戻り

ました。安全第１です。

了

イタリアン・アメリカン・スポーツ殿堂、その１

ディマジオの銅像は、１９９１年制作。大リーグ不滅の連続５６試合

安打の記録、を記念して建てられました。この殿堂建設ともに、

１９９９年、ここに移転。この銅像の正面には、当時のシカゴ

市長、リチャード・デイレー氏が「２０世紀最大のヒーロー。

数万人のイタリア移民の、アメリカン・ドリームの夢を

実らせた男。ヒロイック・イタリアン・アメリカン。トルー・

ジェントルマン。このメモリーを捧げる」と、最大級の賛辞

の言葉を書き込んでいます。

「ザ・ヤンキー・クリッパー」と、称えられた銅像は、もう、風雪に

さらされて黒光りし、風格を増しています。

この、コーナーは「ピアザ・ディマジオ」と言われています。

イタリア語で「広場、市場」の意味。

リトル・イタリーの中心にある、イタリアンの誇りなのです。

イタリアンの大リーグ・スターは、数えきれないほど多く、この

殿堂に、掲額されている人は、ほんの一部にすぎません。

他のスポーツでは、ヘビー級ボクシング、４９戦不敗の英雄、

ロッキー・マルシアーノの像も場内にあります。

水泳で金メダル１１個を独占した、マット・ビオンデイ、ＮＦＬの

名ＱＢジョー・モンタナ、カー・レイサーのマリオ・アンドレッテイ、

などの功労を称えたメモラビリアも展示されています。

「移民の心意気を伝え、その、輝かしい成功を、次の世代へ

受け継ぐ。リトル・イタリー万歳」という、高らかなうたい文句。

ここに来ると、「イタリアンはすごいな」、と、改めて感じます。

了

イタリアン・アメリカン・スポーツ殿堂、その１

アメリカのイタリア移民は、スポーツ界に素晴らしい位置

を占めています。

シカゴに、その偉大なスポーツマンの功績を称える

「ナショナル・イタリアン・アメリカン・スポーツ殿堂」が、あります。

オヘア空港から出る高架鉄道「ブルーライン」に乗り、約４０分

で、ＵＣ－ＨＡＬＳＴＥＤ駅で下車（1㌦70㌣。約２２０円）。

徒歩20分で、この殿堂に到着。シカゴの道路は1日中混んでいて、

この電車が、最も安全、確実、便利です。ブルーラインは行く先

が2カ所に分かれていますが、この駅は、どちらの線も通過する

ので安心。進行方向へ、一番先頭車両に乗って下車。すぐに

橋を渡り、イリノイ大学の広いキャンパスを横に突っ切り、

Ｗ（ウェスト）ＴＡＹＬＯＲ・ストリートに出たら右折。この道

を真っ直ぐ行けば、リトル・イタリー地区の真ん中に、殿堂

が左側に建っています。

道路を隔てて右にある小公園に、偉大なジョー・ディマジオ

の銅像が建っています。ディマジオこそ、イタリア移民の

成功した象徴でしょう。その、バットを振り切り、天を見つめる、

ジョーのユニホーム姿は、貫禄十分。ここには、円形の

ベンチもあり、バラの花も咲き乱れ、リトル・イタリー住人の憩い

の場にもなっています。

館内の、1階展示場を、展示演出をアドバイスしたのは、ドジャース

の名将、トム・ラソーダ。その名前を掲げたギャラリーです。

ラソーダは、夫人のジョーさんと一緒に、この計画に参加。

2人の写真が、入り口に飾られています。ラソーダも、イタリア移民の

名を挙げた偉人の1人、なのです。

了

クーパースタウン、その６

クーパースタウンの会員、になっておくと、便利です。会員証で

１年間無料入場できますし、季刊誌の「メモリーズ＆ドリームス」

が年４回送られてきます。殿堂の詳細が分かる「イヤー・ブック」

も手に入ります。

個人会員は、年間４０㌦（約４８００円）から。私は、年間１００㌦

（約１万２０００円）の維持会員になっていますが、ニュースレター

も、メールで来るし、クーパースタウンのことは、良く分かります。

クーパースタウンを訪ねたい、と言う方は、４０㌦の投資をして

みたら、いかが、でしょう。ご入会をお勧めします。

近年は、殿堂入り記念の、大リーグ試合は、表彰式と分離、独立。

今年は、５月２１日、オリオールズと、ブルージェイズが対戦

します。月曜日の移動日を利用。ほとんどのチームは、

マイナーの選手を動員。大リーガーは休ませて、ほとんど出ませんが、

ホームラン・コンテストも行われ、狭いダブルデー・フィールドは、

いつも満員。たまに、交通事故で到着できず、キャンセル、

もあります。試合後は、すぐにバス移動で、クーパースタウンから

次の試合地へ。今年の両チームは、翌日は、ボルチモアで

同じカードで３連戦。このハード日程を乗り越えて、ファン・サービス

する、大リーガーに、惜しみなく拍手が贈られます。

了

クーパースタウン、その５

クーパースタウン野球殿堂は、語り尽くせませんが、簡単に

紹介しましょう。

これまで、８回も改装を重ね、特に、３年間も掛けて、２００６年

に終わった、大改装で、さらに、フレンドリーな、明るい、ニュー

ルックになりました。

白い目地を入れて、アクセントを付けた、焦げ茶色の煉瓦の外壁は、

外壁に、季節の花が飾られ、メイン・エントランスは、左右から、

スロープで、ゆるりと、入場できる設計。周囲の道路に茂る樹木の

の緑に映えて、思わず、見とれてしまいます。

正面を入ると、広場を飾るのは、左右一対に建つ、ベーブ・ルース、

テッド・ウィリアムスのワックス人形。今でも、プレーしそうな表情

です。

館内は、天井から、自然光をふんだんに取り入れ、間接照明と

のバランスを取り、極めて、明るく、観賞しやすくなった、のが

大きな変化。最高の環境になった、と、思います。

メインの「ホールオブ・フェイム・ギャラリー」の左右壁に掲げ

られた、殿堂入りの方々のレリーフは、一段と、明るくなり、

中央には、長椅子も置かれて、疲れたら、休んで、見上げて

眺めるよう、工夫もされています。

館内奧には、図書館。野球関係の、あらゆる資料が、閲覧

できますし、１階のショップは、多彩なグッズも多く、図書館横

のブック・ストアにある、豊富な野球図書は、立ち寄る価値があります。

私も、なかなか手に入らない本を、ここで、探して購入しました。

アメリカは、実に、野球の本が多く出版され、野球文化の歴史の深さを

感じさせます。

館外広場にある、往年のドジャース・バッテリーの銅像、一度、

眺めてください。

了

クーパースタウン、その４

クーパースタウンのメイン・ストリート左右には、

各種のショップがズラリ。野球ファンなら、時間も惜しい

ほどの、楽しい店ばかり。本屋も、他では、手に入らないような、

野球関係の逸品が少なくありません。

バット専門店（バット・カンパニー）は、左右に1軒ずつ。殿堂

方向へ、左側の店は、店内狭し、と、歴史あるバットが掛け

られ、有名スターのサイン入りも。ここは、専用のバット工場

も近くにあり、作業工程見学ツアーもやっています。

ダブルデー・フィールド近くにある、ワックス博物館は、歴史に

残るスターが、展示されています。

博物館ショップや、アートギャラリーも。コーヒー店も2軒。

左右の歩道には、疲れたときに、腰掛けるベンチも用意され、

ヴィジターへの配慮が伺えます。トイレは観光案内所、ダブルデー・

フィールドの2カ所にあります。

市内トロリーバスは、赤、青ラインが、相互利用の路線で走り、

朝8時半から夜の9時まで運行。ただし、秋の１０月9日で終了です。

毎年、殿堂入り表彰式のときは黒山の人。宿泊者の9割以上はリピーター。

みなさん、翌年の予約までして帰るので、この期間は、ここに宿はない、

と思った方がいいでしょう。

私も、この式典期間に行ったとき、殿堂の関係者に頼んで、

やっと民宿を世話して頂きましたが、メイン・ストリートの外れの

林の中。宿の人は親切でしたが、長く使っていなかった、とみえ、

部屋にカギが掛からないのには、いや、困りましたネ。

「だれかに襲われたら」と、まさに、緊張の夜でした。

タウンに宿泊できなかったら、隣町のオネオンタと、

クーパースタウンを往復する公営バス（午前6時、

オネオンタ・バス・ターミナル始発、1時間置き）

を使って通う、手もあります。これも、景色はいいですよ。

了

クーパースタウン、その３

クーパースタウンの宿舎は、観光案内所のホームページへ

アクセスし、予約しておくのがベストですが、私のお薦めは

メイン・ストリート（市内一番の繁華街）と、チェスナット通り

がクロスする、絶好のロケーションにある「ザ・クーパーイン」

がベスト。

徒歩で、どこにも行けるし、個室の部屋はインターネットも

完備。朝食付きで約１５０㌦（約1万８０００円）。ここは、タウン

最古の豪華ホテル「ザ・オッツエガ」と、タイアップ。姉妹ホテル

なので、便利です。

「ザ・オッツエガ」は１９０９年に創立。もうすぐ１００年になる、

歴史を誇る「アメリカ・ヒストリック・ホテル」に指定されている名門。

1泊２食付きで約３００㌦（約3万６０００円）以上もする超一流。

高いよ、と思うかもしれませんが、クーパースタウンには、

ディナー付きの宿舎は少なく、ほとんどが朝食だけ。

タウン内のレストランも少なく、閉店も早い。満足な店も少ない、こと

を思えば、丁重なサービス付きの食事完備は、高い、とも

言えません。ホームページはwww.otesaga.com 。

目の前は、広大なオッツエガ湖。テラスの椅子に座り、森の

緑、湖の澄んだ青さ、空のすがすがしさ。まさに、目もくらむような美しさ

です。ここにいると、時間も忘れます。

室内の設備は完備。調度も最新式。私も、一度、泊まりましたが

従業員の態度も良く、「名ホテルは違う」と、感じました。

殿堂へは、タウンを走る、トロリー・バス（大人2㌦）で簡単に

行けます。

了

クーパースタウン、その2

ポートオーソリテイ・バス・ターミナルは怖い、ところ

です。だから、あまり、お勧めできない。

ホームレス、怪しげな人物が少なくなく、カモ、と見れば

すぐに近寄り、巧みに話しかけ、すごんだりします。私も、

階段を上がるのに、スーツケースで苦労していたとき「

持ってあげるよ」と、やって来た男に「チップ！」と、すぐに要求され

「しまった」と、後悔したことがあります。

タイムス・スクエアの西の一画。東西１ブロック、南北

２ブロックの巨大さで、利用客は1日２０万人、とも

いわれる密集地帯。迅速に行動しないと、たちまち

悪人に狙われる、のです。

インフォーメーション・ブースはありますが、早口の

説明で、聞き取るのが大変。ここで、無事に、乗車できれば

幸いです。

途中、キングストン、オネオンタを経由。山間の緑濃い道を

走る景色の素晴らしさには、疲れも忘れます。

クーパースタウンは、年間、いつも見事ですが、紅葉の燃える

秋がベスト、ではないでしょうか。ここは、有名な豪雪地帯。

冬も殿堂はオープンしていますが、大半の宿は、春までクローズ。

春、夏、秋の3シーズンで、ゆっくり楽しみましょう。

了

クーパースタウン、その１

大リーグ・ファンなら、だれでもご存知、とも思いますが、聖地、と言われる

クーパースタウンへ、ご案内いたしましょう。

ここへ、行くには、２つのルートがあります。

一般的なのは、ニューヨーク・マンハッタンの、ポート・オーソリテイ・バス・

ターミナルにある、パインヒル・トレイルウエイズ社運行の長距離バスを

利用して入る、のですが、シーズン中は、１日、２回。午前７時発、

正午発。約５時間半で到着します。

途中２回、休憩があり（場合によっては、途中乗り換え）かなりの

ロング・ドライブ。狭い座席に、この長時間は、かなり応えます。

正午発だと、到着はほぼ６時。つまり、１日は移動日で終わって

しまいます。

チケットは階段を下りて、地下２階にある、トレイルウィエイズ社の

カウンターで買えます。必ず往復券を買わないと、帰りは、面倒に

（クーパースタウンにはチケット売り場がない）なります。

もう一つの方法は、シカゴ、または、ニューヨークから、オルバニー

空港（ＡＬＢＡＮＹ）空港を経て、タクシー、または、レンタカーで

向かうルート。

私は、数回、バス利用でしたが、移動日が無駄になるので、この

オルバニー経由（タクシー）でトライしました。

バゲジ・クレームを出ると、すぐに、タクシー乗り場。「クーパースタウン

へ」と、頼むと、係員は「オイ、１００㌦（約１万２０００円）かかる

ゾ」と、驚いた顔をされました。多分、レンタカーを借りるのが普通で、

こういう客はいない、からでしょう。

しかし、ハイウェーは快適。１時間半で楽々到着。その日のうちに

見学できました。山道のバス路線より、道路は素晴らしく、見晴らし

も良く、資金があれば、このルートをお勧めします。

オルバニー空港の案内は、www.albanyairport.com

で詳しいので、一度調べてください。

この空港のロビーにはアート・ギヤラリーが名物です。

その一角にある、クーパースタウンのミニ展示コーナーも、見逃せ

ません。タクシー運転手も親切で丁寧、安全運転でした。

ただ、日帰りは無理。せめて１泊はした方がいい、

と思います。表彰式の１週間は大混雑ですが、他の週なら、タウン内部の

イン、モーテルは泊まれます。観光案内所でwww.cooperstownchamber.org

あっせんしてくれます。１００㌦以下でＯＫでしょう。

了