松原 明の大リーグ

ファーゴ市のマリス、その１

アメリカ北端、カナダに近い、ノースダコタ州に、

ベーブ・ルースの年間最多本塁打記録、６０本を、

初めて破り、６１本の新記録を作った、ヤンキースの

ロジャー・マリス外野手殿堂があります。

「世界の穀倉地帯」とまで言われているファーゴは、

牧畜と、農業が盛んで、人口8万７０００人。ひなびた

町ですが、砂糖大根の名産地。見渡す限りの田園風景

が広がる町で、マリスは、育ちました。

ファーゴは、シカゴ・オヘア、デンバーからＵＡ便が、

ミネアポリスからは、ノースウエスト便が運行。

へクター国際空港は、平屋建ての簡素な設備ですが、

到着したら、空港のホテル専用電話で頼べば、すぐ、市内の

ホテルから、シャトル便が迎えに来てくれます。

ダウンタウン中心地のホリデイイン（2軒あり）は、

どちらも、送迎ＯＫ。

実は、マリスの殿堂は、このホリデイインの目の前、道路

を挟んだ、「ウェスト・エイカーズ・ショッピングセンター」の

中にあるのです。このセンターは、２００４年に大改装され、

同時に、マリス殿堂も展示を一新。収蔵品も充実。立派

な設備になりました。

センターは、東西の棟に分かれ、マリス殿堂は、東ウィング

にあります。「シアーズ・デパート」の隣、子供たちの

遊び場・広場に面しています。

了

fa-go

オークランド・コロシアム、その３

コロシアムの近辺には、全く、何もありません。ナイター観戦

のあと、サンフランシスコのダウンタウンに戻るなら、バートの

直行便が運転している間に、帰る、ことをお勧めします。

警備の警官は「人通りがなくなった時間に、ここにいる

のは危険ですよ。何が起こるか、分からないから」と、

忠告してくれました。

無人になると、薬物の密売や、殺人、強盗事件など、

いつ起きても、不思議ではない、コロシアム一帯の環境なのです。

デーゲームのとき、バートの交流地点、１２番駅で下車。

南へ歩いて、チャイナ・タウンを訪ねるのもよし、

さらに、足を伸ばして「ジャック・ロンドン・スクエア」を

訪ねるのもいいものです。駅から一本道。迷うことは

ありません。

ここは、湾に面した、ウォーターフロント。おいしいシーフッド

の店がいっぱい。海風を受けてワインを楽しみ、ディナー

でくつろぐのもいかが。

１２番駅へ戻ったら、リッチモンド行きに乗り、学園都市

バークレー訪問もお勧めします。ここにも、有名な

レストランが並び、広大なカリフォルニア大学バークレー

校や、カリフォルニア料理では一番、と言われる

「シェ・バニーズ」も、歩いて行けます。

本当に、サンフランシスコ一帯では、バートは、

大変便利な交通機関です。

了

オークランド・コロシアム、その２

サンフランシスコには「ベイ・エリア・スポーツ殿堂」

がありますが、この組織は、常設展示場がないため、

各所に分散して、展示されています。

このコロシアムにも、正面ＶＩＰ入り口受付に、左右対称

配置で、4人が飾られています。

入って右側には、ジョー・モーガン二塁手（レッズ）と、

地元ＮＢＡのスター、ダン・バースデール。

左側には、名救援投手、ロリー・フィンガース、ＮＢＡ

のアル・アタルス。

モーガン、フィンガースはともに、ＭＶＰ受賞のスター選手。

他の場所にあるのは、キャンドル・スティック・パークと、

サンフランシスコ国際空港の、ゲート待ち合いロビー。

空港ターミナル３（コンコースＦ）の左右にあるゲートの柱の

壁に掲げられています。

ヤンキースの名優、ジョー・ディマジオ外野手は、この８６

番ゲートにありました。上に円形のジョーの写真額。

その下に、経歴の説明文。さらに、その下にも、

ヤンキース時代のユニホーム写真と、偉大な足跡

が書き込まれています。実に立派な額です。

多くの観光客の目に止まることによって、サンフランシスコ

の生んだ、偉大なスターは、常に、人々の目に焼き付く

のではないでしょうか。

スケートの女王、イアン・フレミング、左腕投手、レフティ・

ゴーメッツ、救援王、デニス・エッカーズレー投手ら、

各界のスターたちを仰ぎ見られます。

このベイエリア殿堂は、資格が厳しいので有名。

「ベイエリア一帯に生まれ、育ち、住む。全米で活躍、

歴史にインパクトを残した人物」と、厳選された、エリート

たちばかりです。サンフランシスコ空港に行かれたら、

少し、足を止めて、見学してください。

了

オークランド・コロシアム、その１

サンフランシスコの対岸、オークランドに、アスレチックス

のホーム「ネットワーク・アソシエーツ・コロシアム」

があります。

ここへ行くには、サンフランシスコから走る、高速地下

鉄道「バート」がベスト。サンフランシスコのダウンタウン

にホテルを取れば、パウエル・ストリート駅か、モンゴメリー

ストリート駅から乗れば、３㌦３５㌣（約４１８円）で、目的地

の「コロシアム・オークランド・エアポート駅」へ。ただし、

注意しなければいけないのは、バートの行く先。

ダブリン行きか、フリーモント行きでないと、駄目です。

リッチモンド行き、ピッツバーグ行きでは、シテイ・

センター駅で乗り換えないと、反対の方向へ行く羽目になります。

場内アナウンスを聞いていれば、分かります。目的地

への直行便はなかなか来ないこともあるので、プラットフォーム

で、赤の電光案内板を良く見てください。

チケットは、すべて自動販売。㌦紙幣とコインを入れて押せば

チケットは出てきます。乗車時に改札で挿入。受け取って、

下車時にチケットを差し込んで通ります。

着いたら、階段を上がって左折。高架歩道橋を渡れば、

目の前は球場。案内に従って、チケットに合う入場ゲートを探します。

ここの２階コンコースに、アスレチックス殿堂入りの人物

レリーフが飾られています。「ウェスト・サイド・クラブ」

の入り口壁面に１４人のスターが掲げられています。

上下２段の配列で、大リーガーは７人。

ここは、オークランド・レイダースと共有しているため、

レイダースの選手５人も、連ねています。

クーパースタウンの掲額と同じ、銅販の写真と説明文

が付く形式。だれも、その名を知るスターばかりです。

了

黒人記者、ホワイトサイドの死

メジャーの取材で、旅行していると、現地の記者に、

接触します。アメリカ人の記者は、こちらから、

教えを乞えば、ほとんどの人は、丁寧に話して

くれます。

ラリー・ホワイトサイド記者も、その1人でした。

昔は、渡米して、取材する日本人記者は珍しく、

私は、何回も、逆に取材を受けたこともあります。

ホワイトサイドは、ボストンの一流紙「ボストン・

グローブ」のリポーターで、数少ない黒人記者の

パイオニアでした。

当時は、メディアは白人ばかり。彼が、初めて

その中に入ったのは、勇気がいることだった、

と、思います。しかし、目に見えない迫害にも

負けず、彼は、いつも、信念を持って行動して

いました。

ホワイトサイドは、6月16日、長い病に勝てず、

６９歳の生涯を閉じました。気さくで、私にも、

親切な男でした。日本野球にも興味を持ち、日米

野球で同行、来日して、日本中を駆け回り、

日本リポートを書いたこともあります。

黒人記者登場の道を開き、ミルウォーキー時代は

当時の、ブリュワーズ・オーナー、バド・セリグ

（現コミッショナー）に、フロント入りを勧められた

こともありましたが、「私は、黒人たちのパイオニア

で書く」と、断り、生涯、リポーターで、野球の記事

を書き続けました。「彼こそ、アフリカン・アメリカンの

チャンピオン」と、セリグも、その死を惜しんでいます。

アメリカには、生涯、現役で貫き、８０歳を過ぎても、

元気で働いている記者は、少なくありません。

天国のホワイトサイドに負けないように、私も頑張り

たい、と、念じています。合掌。

了

サンフランシスコＡＴ＆Ｔパーク、その７

サンフランシスコには、もう２つの博物館があります。

メインのマーケット・ストリートのワン・ブロック南側、

ミッション・ストリートの南側歩道に沿う、３、２通りの中間

に「漫画博物館」があります。狭いビルですが、ここで、

スポーツ漫画の展示会が、昨年、期間限定で開催され

ました。今は、展示していませんが、ここは、多彩な

漫画、グラフィックのショップが付随して設けられ、研究家

には、見逃せません。

もう、ひとつは、フィシャーマンズ・ワーフの、メイン・ストリート

にある「ワックス博物館」。入り口にある、バリー・ボンズの、

ユニホーム姿のワックス人形が、出迎えてくれます。

とても、精密に出来ていて、肌の色つやも良く、本物

より良い、という評判です。

スポーツのスター・ワックス人形は、多彩に陳列されて

いますが、私が驚いたのは、日本の戦犯、東條英機

が飾られていた、ことです。「第2次大戦の悪役」という

表現で、ヒトラー（ドイツ）、ムッソリニ（イタリー）と、

並んでいたときは、戦争の悪夢を思い出し、複雑な

心境でした。

ここへ行くには、名物のケイブルカー２路線、の

どれでもＯＫ。終点で下車。湾沿いのメイン・ストリート、

ジェファーソン通りを散策すれば、すぐ分かります。

ぶらり、と立ち寄るのもいい、でしょう。

目の前は、有名な「サワドウパン屋」さんの、ボウデン・

ベイカリー。パンの博物館まであり、ビストロ、フード・

ショップも大にぎわい。いつも、観光客で混み合っています。

了

サンフランシスコＡＴ＆Ｔパーク、その６

この夏、サンフランシスコは、オールスター・ゲームで、

華やかに盛り上がります。試合2日前の呼び物、マイナー

の選抜選手が、総動員して、出身国対抗のオールスター

「フュチャーズ・ゲーム」が行われます。アメリカ選抜と、他の

国の出身者で構成する、世界選抜。

監督には、殿堂入りのデーブ・ウィンフィールド（アメリカ）と、

ファン・マリシャル（世界）の2人が選ばれました。

ウィンフィールドは、パドレス、ヤンキースのスラッガーで

知られる外野手。通算４６５本塁打。現在はパドレスの副会長。

マリシャルは、すでに、ＡＴ＆Ｔパークに銅像が建つほどの

大投手。「ドミニカン・ダンデイ」とも言われ、ハイ・キック

のモーションは有名。ドミニカ出身。通算２４３勝。

この2人がベンチに座り、無名の若者を激励するのです。

この、いわば、前座試合から、多くの若者が巣立ち、大家

友和投手も、レッドソックスのマイナー時代に出場しました。

メッツのレイエス遊撃手も、このゲームで大活躍。昇格

のきっかけにしました。

7月8日、日曜日。この試合だけならチケットも安く、雰囲気

を十分、楽しめます。本番が見られない方は、観戦を

お勧めします。９日の月曜日には、売り物のホームラン・

コンテスト。今年の出場候補者は、まだ、未定ですが、

このショーも、気楽に、楽しめます。

了

サンフランシスコＡＴ＆Ｔパーク、その５

ＡＴ＆Ｔパークの右翼席入り口は「オドール・ゲート」と、名付け

られています。

先祖はアイルランド出身。祖母は、フランス人と結婚。名字

はＯ’ＤＯＵＬだが、オドールさんはアイルランド系のグリーン

一色で通した。両親は肉屋。生まれも育ちもサンフランシスコ。

戦後すぐ、サンフランシスコ・シールズを率いて来日。戦後の

日本野球に革命をもたらした功労者、です。

日本の東京ドームにある「野球体育博物館」には、オドールさん

の表彰額が掲げられています。

新世紀特別表彰で、２００２年１月８日、当選し、このレプリカ額は、

２００３年６月１３日、都内のアメリカ大使館で当時の

ベイカー駐日大使へ贈呈され、さらに、７月７日、この

ＡＴ＆Ｔパークで、ジャイアンツへ、と贈られた。

オドール・ゲートは、そういう歴史的背景がある、のです。

だが、打率・３９２で首位打者になり、生涯打率・３４９

の好成績を残したのに、１０００試合以上出ていない、

という理由で、未だに、クーパースタウン殿堂入り

していない、悲運のオドールさん。

オドールさんは、１９６９年１２月７日、７２歳で亡くなったが、

その墓は、コーマ市（地下鉄バートのコーマ駅からタクシー）

のサイプレス墓地、イーストサイドに眠っています。

現役時代、サンフランシスコ市内、ユニオンスクエアに

作った「オドールの店」は、いつもファンでにぎやか。

右翼ゲートからフェリーへ続く鉄橋も「オドール・ブリッジ」。

７４年の歴史を誇る黒塗りの橋です。

オドールさんほど、各地に、その名を残している人は

いない、のではないでしょうか。

了

サンフランシスコＡＴ＆Ｔパーク、その４

ＡＴ＆Ｔパークは、穴場があります。

右翼席外部の道路際に、金網が張られている、約

１０㍍の場所が、ただ見ＯＫになっているのです。試合

観戦はここで。雰囲気は良く分かります。

ただし、１人、２イニング限定。「見たい人はたくさん

いるのだから、長居は困る」と、係員がストップ。

数多くの野球場へ、行きましたが、ただ見公認！なんて、

ＡＴ＆Ｔパークだけではありませんか。

まさに、意外なファン・サービスです。

マッコビー公園を一周して戻ると、出口に近い広場が

少年野球場。大人の硬式、ソフトボールは禁止。

あくまで、少年たちの遊び場。子供に野球の基礎を

教え、将来のジヤイアンツを背負うように、なって

もらいたい、の願いを込めて、ジャイアンツのＯＢも

良く顔を出し、コーチしています。

正式には「バリー・ボンズ・ジュニア・ジャイアンツ・

フィールド」。父兄同伴の子供たちが、熱心に、楽しく

駆け回る風景も、いいものです。

１１日、ボンズがついに一発。この日は右中間でしたが、

この右翼湾は「マッコビー・コーブ」と命名され、この

湾に落ちたボール拾いは、一段と熾烈になります。

ボートを浮かべている人。潜水具着用で待ちかまえる

男。エンジン付きのボートも待機。怪我人が出ないか、

心配になる風景です。アーロン破りの日は、いつに

なるのか、カウントダウンへあと８本！

了