本来なら大晦日は「行く年、来る年」を書くのですが、前夜見たNHKテレビ(衛星第1)
の2時間番組「2009年大リーグ総集編」の最後に放映された「イチロー大記録秘話」
のラスト・シーンが素晴らしかったので、それを取り上げたい、と思います。
10月4日、シアトル・セーフコ・フィールドの公式戦最終戦(レンジャーズ)
でマリナーズ・ナインが、ケン・グリフィーJ外野手を肩車して場内を一周したシーンです。
この日は、だれも「グリフィーのユニホーム姿はこれが最後だろう」と、現役を引退
するかもしれないグリフィーを見送っていたのです。肩車も自然の流れでした。
ところが、その行列の途中で、ナインの中にいたイチローも肩車されるハプニング。
すぐに、イチローはグリフィーに追いつき、2人は満面の笑顔でハイタッチ。
2001年にマリナーズ入団以来、イチローがこんなに、うれしそうに、
はじけるような笑顔を見せたのは初めてです。本当に、うれしかったのでしょう。
イチローは「いや、いい人が集まると、野球は楽しいものですね。野球は
本当はこうなんだ、と知りました」と、しみじみと話していました。
このシーンはスポーツニューズではちらっと映っただけで、あの笑顔の連続場面は
なく、今度、初めてその感動が分かりました。
グリフイーこそ、イチローの心を開き、クラブハウスを明るくし、マリナーズ全員で
一丸になれるように盛り上げた、最大の功労者です。イチローの笑顔は、とかく
壁があったナインとの間の扉が開かれた、という象徴的なシーンでした。
グリフィーは今シーズン、さまざまな仕掛けをして、イチローの心の悩みを
解きほぐそうと、苦心してきました。「9年連続200本安打の新記録は、ベンチで
フィールドで見れた。いや、素晴らしい記録だった」と、イチローを称えています。
通算629号を記録したグリフィーは、契約を1年延長し、2010年も現役で残る、
と発表されました。イチローにナインの中心になってリードして欲しい、
そのためには、僕がまた仕掛け人になる、という、チーム愛に燃えた残留では
なかったか、と推理しています。グリフィーは引退後には、
クーパースタウン野球殿堂入りする存在なのを実証した行動でした。
そして、この映像の最後に、グリフィーはイチローにビデオ・メッセージを贈り
「来年もいろいろ仕掛けをするよ。まずキャンプからだな」と、予告したのを
知りました。
「あの人くらい”絵になる人”はいない」と尊敬しているイチローは「今年やり残した
いたずらがまだあるのかしら?」と、笑顔で応えました。
このきずなが2010年も続けば、マリナーズは、エンゼルスの最大のライバル
として地区優勝も望めます。2010年は西地区の争いは、ますます面白くなる
のは間違いありません。
このブログも2010年は4年目に入ります。おかげさまで、アクセスも
ついに2万回を突破しました。
ご愛読を深く感謝致します。
みなさま、良いお年をお迎えください。
了