ツインズの強打者、ハーマン・キルブルーさんが
食道がんのため、5月17日、スコッツデール(アリゾナ州)で
亡くなりました。74歳。
ワシントン・センタースの時代からミネソタ・ツインズへ
1954年から1975年まで21年間プレー。通算573本塁打、
本塁打王6回、打点王3回。右打ちのスラッガーで有名な
キング。「キラー」とも恐れられる、選手でした。
いつも温顔に微笑たたえ、したわれる選手で、彼のことを
悪く言う話は見当たりません。
1984年、クーパースタウン野球殿堂入りしましたが、
歴史に残る一打は、まだ、メトロ・ドームが完成するまでの
メトロポリタン・スタジアムの左翼2階席イスにぶつけた
超特大アーチです。
左翼は深く、屋根の附いた2階スタンドが聳えていましたが
「あんなところに飛ぶはずがない」と、言われていた
てっぺんにぶつけたのには、だれも、たまげました。
この打球を目撃した、当時のグリフィス・オーナーは
「あのイスを赤く塗れ!」と、指示。他のイスはみな
ライトブルーに塗られていたので、ひときわ目立つ
赤のイスでした。
そのころ、打球距離の計測が残っていませんが、
「多分、500フィート(152㍍)以上は飛んだ」という
広報のコメントは残っています。
この球場はすでに消え、跡形もありませんが、何と、
この赤いイスが保存されているのです。
ミネアポリスの「モール・オブ・アメリカ」のテーマ・パーク
にあるショッピング・モールの壁に釣り下げられていました。
これを発見したのは、慶応大学医学部准教授、向井万起男
氏。朝日新聞夕刊の連載コラム「大リーグ大好き」で、
ミネソタ訪問のとき、取材した話を書いています。
オール・オブ・アメリカの3階から撮影した、写真も添え
られています。
メトロポリタン・スタジアムのホーム・プレートも
保存されているので、今度、ツインズ取材のとき
「キルブルーの思い出のイス」を訪ねてみたい、
と、思います。
了
コメント