本年度の「フォード・C・フリック賞」(ベスト放送マン賞)は、9日、ラスベガス
のウィンター・ミーティング会場で発表され、元NBCテレビの解説者、トニー・
クーベック(KUBEK)さん(73)が受賞しました。
クーベックさんは、ヤンキースで9年間プレーした遊撃手。左打者。1957年
のア・リーグ新人王。6回ワールド・シリーズ出場。3回王座に就いた黄金時代
のスターです。特にボビー・リチャードソン二塁手との二遊間コンビは抜群でした。
1961年に作った遊撃手最多併殺の38個の新記録は素晴らしく、
攻守に光る名手でした。晩年は外野もやり、内野全部もこなしました。
背中痛のため、29歳の若さで引退しましたが、すぐにNBCテレビの解説者に招かれ、
ファンに分かりやすい解説で人気を呼び、トロントでも解説。今は、引退
しています。約30年間の放送マンでした。
テレビ解説者の受賞は初めて(受賞者のほとんどは地元球団密着のラジオ・アナ)。
カナダの中継局からの受賞者も初めてです。
これまでの受賞者の中では、いわば、異色の存在です。解説者を突然降りたのは、
1994年のファン無視で展開した、労使の醜い争いの長期ストに嫌気が指し、
「もう、メジャーは今後見ない」と、1994年に放送界から引退宣言した、
と言われています。
こういう背景を見ると、まさに、異例の受賞ですが、「私は、今もヤンキースの偉大な
伝統と歴史を愛している。ヤンキースは私のすべてだ」と、古巣を応援して
いるのです。
「彼は的確な描写でファンを掴み、試合がどう進行しているか、お茶の間へ正確に
伝えた功績は評価される」と、クーパースタウンのジェフ・アイデルソン館長
は称えています。
他の殿堂入りの人々(まだ投票選考は来年1月12日に発表ですが)とともに、
2009年7月26日、クーパースタウンで表彰されます。
マネー・ゲームとなった、現代の野球をどう批判するか、クーベックさんの
受賞スピーチを注目しましょう。
了
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